最近、日本の工場や建設現場、農業の現場で働くベトナム人技能実習生をよく見かけるようになりました。
彼らはなぜ日本で働いているのでしょうか?
また、給料はいくらもらっているのか、何年間日本に滞在できるのか、気になりますよね。
この記事では、ベトナム人技能実習生の実態について、最新データと共に詳しく解説します。
ベトナム人技能実習生とは?

ベトナム人技能実習生は、日本の「外国人技能実習制度」を利用して来日し、日本の企業で働きながら技術や知識を学ぶ外国人労働者です。
【プロフィール】
- 出身国:ベトナム
- 在留資格:技能実習
- 主な職種:製造業、建設業、農業など
- 滞在目的:技術習得と母国への技術移転
- 日本での滞在期間:最長5年間
ベトナム人技能実習生は、日本の外国人技能実習制度を通じて日本で働く若者が多く、2023〜2024年にかけて、ベトナム人技能実習生は約209,300人とされています。
これは技能実習生全体で最大の国籍グループで、約45〜50%に相当します。情報元
彼らは主に製造業、建設業、農業などの分野で働き、日本で技術を学び、母国に持ち帰ることを目的としています。
しかし、制度には課題もあり、低賃金や過重労働、失踪などの問題が指摘されています。
ベトナム人技能実習生の給料はいくら?


技能実習生の給料は、日本の最低賃金法に基づいて支払われることが義務付けられています。
しかし、これは手取りではなく、控除額や働く地域、業種によって大きく異なります。
また、日本人と同様に所得税や社会保険料が差し引かれます。
製造業、建設業、農業別の給料



外国人技能実習機構の統計によると、業種別の平均月額給与は以下のようになっています。
- 製造業
- 第1号技能実習生:19万5,336円
- 第2号技能実習生:20万3,602円
- 建設業
- 第3号技能実習生が最も高く、約20万円以上
- 農業
- 一般的に製造業や建設業より低い傾向があり、約17万円前後
実習段階が上がるにつれて給料も上昇する傾向があります。
特に技能実習3号(3年目以降)になると、より高度な技術を習得していることが評価され、給料も増加します。情報元
技能実習生の給料は、特定技能の平均月額給与(211,200円)よりも低いですが、彼らが母国で得られる給料と比較すると、かなり高額であることが理解できます。情報元
日本での実習生としての給料と手取り
- 日本での技能実習生の手取りは、月に約12万円〜16万円が一般的です(最低賃金ベース、保険や税金、寮費等控除後)
- 業種や残業時間、特定技能に移行した場合には、月17万円〜20万円以上になることもあります
帰国後の給料
ベトナム人技能実習生が帰国後に得られる給料は、日本で働いていた時と比べると大幅に減少します。ベトナムでの一般的な月収は2万円程度が平均とされています。
日本での経験を活かして就職できれば、それよりも高い給料を得られる可能性はありますが、それでも日本での収入には及ばないのが現状です。そのため、多くの技能実習生は特定技能への移行を希望するケースが増えています。
ベトナム国内の平均収入と帰国後の現実
- ベトナム全体の平均月収は、都市部で約3.6万円(595万ドン)、農村部では約2.4万円(386万ドン)とされています。
- 実習生が帰国後に得られる収入は、多くの場合この範囲内で、日本での給料と比べると4分の1〜3分の1程度となります。情報元
給料の実態のまとめ
項目 | 日本での手取り(月) | ベトナムに帰国後(月) |
---|---|---|
給料(多くの実習生) | 約12万〜16万円前後 | 約3〜4万円(月) |
減少率 | — | 約 60〜80% 減少 |
ベトナム人技能実習生は日本で何年働けるのか?





技能実習生の滞在期間については、制度によって明確に定められています。
実習の段階と期間
- 第1号技能実習(1年目)
- 最初の1年間は基礎的な技術を習得します
- 第2号技能実習(2~3年目)
- 1号から継続して、さらに2年間技術を習得できます
- 合計で3年間の滞在が可能
- 第3号技能実習(4~5年目)
- 一定の要件を満たす場合、さらに2年間の延長が可能
- 合計で最長5年間滞在できます
2017年の制度改正により、従来の最長3年から5年に延長されました。
ただし、5年間の滞在には、優良な監理団体や実習実施者(受入企業)であることなどの条件があります。情報元
特定技能への移行
技能実習を終えた後も日本での就労を継続したい場合、「特定技能」という在留資格に切り替えることで、さらに最長5年間の滞在が可能になります。



ただし、特定技能への移行が可能な職種は限られており、すべての技能実習生が移行できるわけではありません。
特定技能への移行が可能な主な職種は以下の通りです:
- 農業関係(3職種7作業)
- 漁業関係(2職種10作業)
- 建設関係(22職種33作業)
- 食品製造関係(11職種19作業)
- 機械・金属関係など
ベトナム人技能実習生に関する問題点と犯罪率





ベトナム人技能実習生に関しては、様々な問題点が指摘されています。
失踪者



働きながら技術を学ぶベトナム人技能実習生ですが、職場から失踪するケースも増えています。
- 2023年(令和5年)に失踪した技能実習生は合計9,753人と報告され、過去最多を更新しています〔出入国在留管理庁発表/NHK〕
- このうち、ベトナム人は5,481人で、全体の約56%を占めています。
技能実習生全体のおよそ50人に1人の割合で、国別に見るとベトナムが最も多く5481人、ミャンマーが1765人、中国が816人、カンボジアが694人などとなっています。
職種別に見ると建設関係が47.1%と最も多く、農業関係が8.6%、食品製造関係が8.5%、機械・金属関係が7.9%でした。
NHK
犯罪率の実態
ベトナム人技能実習生の犯罪率については、一部で高いという印象が持たれていますが、実際のデータを見る必要があります。
警察庁の統計によれば、2020年の国籍別検挙状況では、ベトナム人の検挙人員が外国人全体の約36.7%を占めており、他の国籍よりも高い割合となっています。情報元
しかし、これを単純に「ベトナム人の犯罪率が高い」と結論づけるのは適切ではありません。
2019年の来日外国人の検挙件数1万7,260件のうち、技能実習生による犯罪は18.0%だったというデータもあります。情報元
犯罪の背景要因



ベトナム人技能実習生が犯罪に関わる背景には、以下のような要因が考えられます。
- 劣悪な労働環境:長時間労働や過酷な条件下での労働によるストレスや精神的負担
- 高額な借金:来日のために仲介業者に支払った借金の返済圧力
- 言語や文化の壁:日本語や文化の理解不足によるコミュニケーション問題
- 孤立感:地域社会から孤立し、支援を受けられない状況



これらの問題を解決するためには、受入企業側の適切な対応や、技能実習生へのサポート体制の充実が必要ですね。
まとめ:ベトナム人技能実習生の給料はいくら?日本で何年働けるの?問題点と犯罪率も調査して





ベトナム人技能実習生に関する主要なポイントを整理すると
- 人数と割合:2023〜2024年にかけて、ベトナム人技能実習生は約209,300人
- 給料の実態:平均月額給与は約18万円、業種によって異なり、建設業>製造業>農業の順で高い
- 滞在期間:最長5年間、その後特定技能に移行できれば最大10年間滞在可能
- 帰国後の状況:ベトナムでの平均月収は約2万円で、日本での収入に比べて大幅に減少
- 犯罪率と課題:一部でベトナム人の犯罪率が高いという指摘があるが、背景要因を考慮する必要がある
ベトナム人技能実習生は、日本の労働力不足を補うだけでなく、国際交流や技術移転の面でも重要な役割を果たしています。
今後は、彼らがより良い環境で学び、働けるよう、制度の改善や受入企業の意識向上が求められるでしょう。



日本での経験を通じて成長したベトナム人技能実習生が、帰国後も習得した技術を活かし、自国の発展に貢献できるような制度設計が理想的です。



そのためには、日本とベトナム両国の協力と理解が不可欠ですね。